沈没船の引き上げ方法と必要な申請・届出を一覧紹介|船のサルベージなら信太商店

この記事では「沈没した船を引き上げる方法」や「手続きに必要な申請書類・届出」について解説しています。

漁船やプレジャーボートなど、船舶を所有する方は座礁や沈没といった万が一の事態に備えておかなければなりません。

しかし、実際に自分の船が沈没したとき、適切な対処をすぐ取れる方は多くないと思います。
また、事故後には沈没船を引き上げるための手続き・サルベージ会社への依頼が必要となりますが、この点に関しても分からないことが多いはずです。

そんな疑問を解消するために、ここでは「沈没船の引き上げを行う際に必要な申請と流れ」を詳しくまとめました。

合わせて船舶の引き上げ作業を依頼できる会社も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

沈没船を引き上げる目的

沈没船を引き上げる目的は主に2つです。

沈没船を引き上げる目的とは
  • 人体や海洋に有害な油や物質が漏れ出るのを防ぐため
  • 重油などによる海洋汚染を防ぐため

海洋汚染防止法では「海洋環境が汚染される可能性がある場合」または「重油などが船外に漏れ出る危険性がある場合」は沈没した船を引き上げなければならないと定められています。

行政側は船の所有者・事業者に対して船の引き上げ命令を出すことが可能で、撤去命令を出された側はその指示に従わなければなりません。

また、何かしらのトラブルによって漁船やプレジャーボートなどが座礁・沈没した場合は、船の所有者および船長が海上保安庁や管轄の運輸局まで報告をすることになっています。

しかし、船が沈没するような事故やトラブルを何回も経験する人はほぼいません。
ほとんどの方は一生のうち1回限りの出来事なので、どう対処すれば良いか分からないと思います。

そこで、次項では船の所有者が知っておきたい「沈没船引き上げに必要な申請や流れ」を詳しくまとめました。

沈没船の引き上げを行う際に必要な申請と流れ

沈没船を引き上げる手続きや申請をする際の選択肢は「自分(船の持ち主)でおこなう」「船の引き上げ業者(または工事業者)に依頼する」の2つです。

ただし、自分で手続きをおこなうことは稀であり、大半は業者に任せることとなります。

船が沈没したとき、沈没した船を引き上げるときの流れ
  1. 事故やトラブルが発生した時点ですぐに役所や自治体へ報告をおこなう
  2. 沈没船を引き上げるための手続きや申請をおこなう(業者に依頼することが一般的)
  3. サルベージ会社による沈没船の回収(引き上げた船の解体など)

それぞれの流れを分かりやすく説明していきますのでご覧ください。

①船を沈めてしまった場合はすぐに役所や自治体へ報告(海保・警察・消防への報告義務など)

海上でのトラブルにより「船が沈没する危険性」「人命(乗客やスタッフ)へのリスク」を感じた場合は、すぐに「118番(海上保安庁)」まで連絡しましょう。

これが河川での事故であれば「110番(警察)」「119番(消防)」に連絡します。

また、船同士の衝突や座礁によって海難事故が発生した場合、また船が沈没した場合には該当船舶が登録されている「管轄運輸局」まで報告をしなければなりません。(河川での事故の場合は管轄の河川事務所)

船員法第19条において、「船長は、各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、地方運輸局長又は指定市町村長にその旨を報告しなければならない。」となっています。具体的には次の一から六について報告する必要があります。
 1 船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。

引用:航行報告及び航行報告証明申請|関東運輸局

ご覧の通り、管轄運輸局への報告は法律によって義務付けられているものです。
そのため、海難事故が発生した際は報告を怠らないよう気を付けましょう。

なお、事故の報告として提出する書類は以下の通りです。

海難事故を報告するための書類
  1. 報告書(3通):英語以外の外国語で作成されているときは、翻訳者を明らかにした日本語又は英語による訳文を添付
  2. 航海日誌
  3. 船長(報告事項が機関に関するものであるときは、機関長含む)の海技免状
  4. 航行報告証明申請書

参考:航行報告及び航行報告証明申請|関東運輸局

また、地方運輸局では「海難事故速報」の提出を求めるところもありますので、あらかじめ自分の船が該当する運輸局の規則を確認しておきまさよう。

②役所・自治体・保険会社などに書類を提出(業者に委託が可能)

事故後の報告を終えたら、次に沈没船を引き上げるための手続きをおこなっていきます。
なお、こちらの手続きは業者に委託することが可能です。

そのため、船の引き上げ業者を探すときは「役所や自治体への申請代行」もおこなっているかどうかを確認しましょう。

沈没船引き上げ作業に必要な書類や申請
  • 海上保安庁への許可申請
  • 現場水域の工事を管轄する建設局への作業届
  • 該当エリアの漁協への報告(必要な場合)

沈没した船を引き上げるときには現場を管轄する海上保安庁に「作業の許可申請」、建設局(港湾事務局等)に「作業届」を出すことになります。

参考:工事・委託等の提出書類様式|東京都港湾局

また、漁協が管理するエリアで事故を起こした場合には、各漁協への報告も必要です。

こうした手続きには専門的な知識や相応の時間が掛かりますので、基本的には船の引き上げ業者に任せることとなります。

なお、船が沈没して使用不可となった際には、合わせて「船舶の抹消登録申請」も提出しなければなりません。

ただし、抹消登録申請の提出先や書類形式は事故を起こした船の種類や大きさによって異なります。

例えば個人が所有するプレジャーボートなどの場合は「日本小型船舶検査機構(JCI)」に登録されていますので、JCIで抹消登録申請をおこなうことになります。

抹消登録申請書
廃船などにより船舶が消滅したとき、漁船に転用し漁船登録を受けたときに登録を抹消する際の申請書です。

引用:各種申請書ダウンロード|日本小型船舶検査機構

漁船の場合は各自治体に「漁船」として登録されていますので、市役所や町役場まで出向き該当する漁船の登録を抹消してください。

仮に総トン数20トン以上の日本船舶が沈没した場合は「船舶法(総トン数20トン以上の日本船舶)船舶の抹消登録申請|国土交通省」に定められた方法で申請をおこなうことになります。

このほか、沈没した船名義で加入していた保険を適用させるためには「保険会社への連絡」も必要です。

③サルベージ会社による沈没船の回収

海上保安庁への作業許可申請、建設局への作業届が正式に受理されると、サルベージ会社による沈没船の回収作業がおこなわれます。

なお、前述の通り「海上保安庁や建設局への申請・届出」は各地域によって内容・添付書類が変わってきますので、適切な対応を取るためにも専門の業者に任せましょう。

参考:海上での工事・作業、行事に伴う許可申請手続き等の手引き|能登海上保安署

自身でおこなう作業は「業者の選定」「船の引き上げ業者(=サルベージ会社)との連絡」「必要書類の受け渡し」がメインです。

沈没船の引き上げに関わる書類・申請一覧

ここでは船が沈没したとき、また沈没船を引き上げるために必要となる書類・申請を一覧形式でまとめました。

提出書類・申請提出先
海難事故速報運輸局
海難事故の報告書運輸局
航海日誌(消失した場合は不問)運輸局
船長の海技免状運輸局
航行報告証明申請書運輸局
海上工事・作業の許可申請管轄する海上保安庁
該当水域における作業届管轄する建設局(港湾事務所)
漁業協同組合への作業届管轄する漁協
船舶の抹消登録申請日本小型船舶検査機構
漁船の抹消登録申請各自治体(市役所や町役場)
船舶の抹消登録申請
(総トン数20トン以上)
運輸局
保険金の申請各保険会社

最後に記載した保険金の申請については、契約している保険会社に連絡をして必要書類等を尋ねてみてください。

なお、一般的な海難事故による船舶の損失は保険でカバーされますが、船が深海まで沈没した場合の引き上げ作業費用・重油漏れへの対応費用といった部分は自己負担となり、保険金だけでは賄えないケースが大半です。

そのため、保険契約を結ぶ際は必ず保険内容をよく確認しておきましょう。

沈没船を引き上げる方法と具体的な工程

ここからは沈没船を引き上げる方法とその工程を具体的に解説していきます。

業者にサルベージを依頼した場合、船の持ち主がやることはほぼありません。
とはいえ、流れを知っておかないと業者との話し合いや見積もり相談が進みませんので、最低限の知識は持っておきましょう。

沈没船の調査

沈没船を引き上げる際は、まず現場の調査をおこないます。

事故現場の調査
  • 海上から沈没船の船体が見えるかどうか
  • 船体の大きさや破損の度合い
  • 船体が見えない場合は潜水士による調査が必要

こうした調査をおこなうために該当水域の通航を管理する海上保安庁、工事作業全般を管理する建設局(港湾事務局等)への許可申請や作業届が必要になるということです。

なお、海上保安庁や建設局からの許可が下りるまでには3~4週間の時間が掛かります。
(船の持ち主でも許可申請の手続きはできるものの、専門的な知識がある業者の方がスムーズに許可を取れる)

また、沈没船の引き上げ作業をおこなう場合は、その期間における水域の使用料を後から徴収されますので、そちらも費用の計算に入れておきましょう。

沈没船の引き上げと曳航

作業許可を取得し、調査が完了したら沈没船の引き上げをおこなっていきます。

方法としては、クレーンが付いたサルベージ船で沈没した船を引き上げるというのが一般的です。
ただし、堤防や陸から近い場合は大型クレーン車を使って引き上げることもあります。

なお、陸から離れたところで沈没している場合は、引き上げた船体を近くの湾内まで曳航する作業が必要となってきますので、その分だけ費用が増すことも覚えておいてください。

沈没船の解体・処分

引き上げた沈没船は、再資源化できる部分とそうでない部分に分けながら解体していきます。

リサイクルできるパーツは再資源化工場へと送られ、使えないパーツはすべて処分場へと送られるという流れです。

なお、一般的な船舶保険ではこうした解体費用や処分費用というのがカバーされていません。

そのため、沈没船の解体・処分費用は基本的に自己負担となります。(全費用の3割~5割が保険対応となることが多い)

こうした点を考慮し、船の引き上げ業者を選ぶときには以下のポイントを抑えておきましょう。

業者を選ぶときのポイント
  • 許可申請の代行をしてくれる
  • 沈没船の調査から引き上げ・曳航まで一貫した作業が可能
  • 船舶の解体・処分費用が安いところを選ぶ

許可申請の代行をしてくれる業者を選べば、事故後の対応に追われている「自分の時間的負担」が軽減されます。

また、沈没船の調査から陸への引き上げ、解体処分までの作業を一貫してできる業者を選んだ方が連絡を取る手間が省けて楽です。

その上で、船舶の解体・処分費用が安いところを選んでみてください。

沈没船の引き上げなら信太商店

事業者名 信太商店
所在地 東京都渋谷区富ヶ谷2-5-6
電話番号 0120-937-277(フリーダイヤル)
主要取引先 NHK、防衛省、ヤマト運輸株式会社、JAXA、海洋研究開発機構など多数
産業廃棄物収集運搬業/営業許可
  • 東京都許可 第1300154938号
  • 千葉県許可 第1200154938号
  • 埼玉県許可 第1100154938号
  • 神奈川県許可 第1400154938号
  • 群馬県許可 第01000154938号
  • 栃木県許可 第00900154938号
  • 茨城県許可 第008011154938号
  • 静岡県許可 第02201154938号
公式URL https://www.shida-eco.com/

「所有する船が事故や自然災害で沈没してしまった」「放置しておきたくないので沈没船を引き上げてくれる業者を探している」という方には、信太商店への依頼をおすすめします。

当社では船の引き上げ作業に必要な申請手続きの代行やクレーン船による引き上げ、船の解体処分などをすべて引き受けています。

また、役所や自治体に対する許可申請のノウハウがありますので、作業開始までの流れがとてもスムーズです。

できるだけ早く作業に取り掛かってほしい方は、ぜひ信太商店までご相談ください。

信太商店での沈没船回収事例|費用の目安

当社は「処理困難物」の回収に長けた産業廃棄物処分業者です。

これまでに特殊な廃棄物を数多く回収していますが、沈没船もそのひとつとなります。

なお、船の解体処分に掛かる費用は「1kgあたり150円」が目安です。
保険ではカバーできないコストを抑えたい方にはおすすめの料金設定となっていますので、ぜひご検討ください。

上記はこれまでに受けてきたご依頼内容の一部となりますが、お客様のご予算やニーズに合わせて作業プランをご提案することも可能です。

信太商店への問い合わせ方法|最短即日お見積もり

当社への問い合わせ方法は以下の通りとなっています。

電話番号0120-937-277
メールアドレスshida@shida-eco.com
問い合わせフォームhttps://www.shida-eco.com/contact

お見積り書類は最短即日で発行できます。
また、現地調査が必要な場合でも費用は発生しません。

契約前に正確な費用を知りたい方はたくさんいますが、信太商店ではそういったご要望にもお応えしています。

まとめ

船が沈没してしまった場合、沈没した船を引き上げる場合には様々な手続きが必要です。

事故を起こしてしまった船の所有者や会社の代表(または担当者)が個人で手続きをおこなうのは時間的・精神的にも難しいため、専門業者に船の引き上げと許可申請の代行をセットで依頼するケースが大半となっています。

信太商店は「許可申請の代行」「沈没船の調査~引き上げ」「解体処分」といったすべての作業を受け付けておりますので、船舶のトラブルでお困りの方は一度当社までお問い合わせください。

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